社会倫理学講義 (有斐閣アルマ) | 稲葉 振一郎

社会倫理学講義 (有斐閣アルマ) | 稲葉 振一郎

この本は,応用倫理学(生命医療,環境,動物)や,中でも特にAI倫理学について,後半で書かれている.そちらが興味があったのだが,いつも通り初めから順に読んだ.講義形式らしいし,途中のどこからでも読めるような書き方ではなさそうなので,それが正解だと思ったが,実際,前半の古典的な徳倫理学,規範倫理学,メタ倫理学,そして再び徳倫理学への注目や応用倫理学という流れを追いかけることができた.前半も,後半も,大変ためになった.「第8回 現代倫理学のコンテクスト」までが前半で,この回に書いてあることを終えるようになったら前半は修了,同様に「最終回 人間とはどのようなものか?」は後半の修了条件だと思う.2回通し(2回目は要点を追いかけて速読)で読んだが,理解度80%.そんな簡単に100%理解できるような軽い内容ではないが,かといって,大卒だったらほかの予備知識なしに読み進められるはずという意味で,専門的な内容を扱いつつ一般向けといっていい倫理学のテキストだと思う.特に今後,あらゆる市民やビジネスパーソンSDGsをより意識して生活し仕事をして生きていく世の中になると思われるので,一読をお勧めしたい.