ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める (中公新書)

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西垣通
中央公論新社
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生物と機械は、開放系と閉鎖系、自律的と他律的な関係にあって明確な境界で分けられる。だから、シンギュラリティは世迷い言。欧米の識者が、楽観派にしろ悲観派にしろ、シンギュラリティを真剣に論じるのは一神教が根本にある。第五世代コンピューティングの失敗は、特にリーダー達が言語コミュニケーションに対する洞察を欠き、政治的、経済的な効果にのみ注意をそそぎ、専門技術的な短期目標達成に猛進したことが大きい、といった内容。AIでなくIA (Intelligence Amplifier)を目指すべきとも。
大筋同意できるのだけど、「機械との闘争」を都合よく解釈をしているところがあるように思えた。また、人間は有機物、機械は無機物であるが、どちらでも情報処理ができると認めるなら、機械が意識を持ちえないことや、人間が意識を持っていることも認めるのが自然ではないだろうか。機械は閉鎖系、他律的というのは著者の主張であって、これを認めてよいかは意見が分かれたとしてもおかしくはない。

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