汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師インテリジェンス畸人伝

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手嶋龍一
マガジンハウス
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パナマ文書の裏舞台の話なのかと思ったら，それは入口で，この事件を予見するような「パナマの仕立屋」を上梓した，本人自身がスパイであったル・カレや，彼をスパイに育てたビンガムや，彼らがスパイになる土壌であった第二次大戦前後のイギリスやオックスフォードの事情など，はじめて知るようなインテリジェンスの世界が描かれる．日本を舞台に暗躍したゾルゲや，サイバースペースへ舞台を移したウィキリークス，スノーデンの事件と続く．スパイ小説は，過去の事件を下敷にしたフィクションではなく，近い将来現実になりそうな諜報戦を予見して描く．イギリスのスパイは作家としても活躍し，著作を通じて諜報活動に対する国民の支持を獲得するのに役立った．というあたりが，なるほどな〜．