君臨する企業の「6つの法則」―戦略のベストプラクティスを求めて
posted with amazlet at 14.12.23
結論の中の「いかに学ぶか」の節には、著者が不朽の法則を追求しつづける動機が述べられている。要約すると、1)アイディアは現場で生まれ、理論(知識)は研究から生まれる。2)実務家は目前の問題解決に、学者は既知のことと未来のことを学ぶ手助けに優れる。両者の協力によって、企業にとって経営における卓越性と真の"君臨しつづける力"を生み出すのは何かが最もよく理解できる。3)ケーススタディを通じて因果関係を理解し、将来の課題に備えるための不朽の法則を追求しつづける必要があるという。
ツッコミどころ満載である。まず、分野を問わず、研究成果は世界初であるはずだ。もしアイディアは現場で生まれるのならば、研究自体のコミットメントは小さい。次に、学者が実務家よりも因果関係の導出に優れているという根拠がない。最後に、ケーススタディが十分かどうかは主観や目的に依る。そのようにして導出した因果関係の信憑性は疑わしく、後知恵に過ぎない可能性があるため、不朽の法則である証拠がない。
企業研究のトップ学者のひとりが、上記のようにアイディアは現場で生まれることを認めている。ということは、因果関係の導出に自身がある人は、企業研究の文献を読む必要がない。また、アイディアに自身のある人は、理論がどうあれ問題にしない。従って、企業研究の文献を有り難がって、内容を受け売りする行為は、自分にはアイディアも、因果関係を読み解く力もないことを認めているようなものではないだろうか。
本の内容としては、前半の3つの法則(プラットフォーム、サービス、ケイパビリティ)については新しさがあるようだが、後半の3つの法則(プル、範囲、柔軟性)は過去の研究との違いが認められず、トヨタ、マイクロソフトなど超企業の成功談は、いろいろな本でとりあげられているので、いまさら感がある。本の中でも同じ話がくどくどと繰返されている印象が強く、自分が属する業界内のプレーヤーの事例を自分で調べて研究したほうがよい。「ケイパビリティ」のイメージを捉むために、難解な文章を読み解く必要があった。訳語に工夫がなさすぎで、訳者・出版社ともに怠慢であろう。
** メモ
ツッコミどころ満載である。まず、分野を問わず、研究成果は世界初であるはずだ。もしアイディアは現場で生まれるのならば、研究自体のコミットメントは小さい。次に、学者が実務家よりも因果関係の導出に優れているという根拠がない。最後に、ケーススタディが十分かどうかは主観や目的に依る。そのようにして導出した因果関係の信憑性は疑わしく、後知恵に過ぎない可能性があるため、不朽の法則である証拠がない。
企業研究のトップ学者のひとりが、上記のようにアイディアは現場で生まれることを認めている。ということは、因果関係の導出に自身がある人は、企業研究の文献を読む必要がない。また、アイディアに自身のある人は、理論がどうあれ問題にしない。従って、企業研究の文献を有り難がって、内容を受け売りする行為は、自分にはアイディアも、因果関係を読み解く力もないことを認めているようなものではないだろうか。
本の内容としては、前半の3つの法則(プラットフォーム、サービス、ケイパビリティ)については新しさがあるようだが、後半の3つの法則(プル、範囲、柔軟性)は過去の研究との違いが認められず、トヨタ、マイクロソフトなど超企業の成功談は、いろいろな本でとりあげられているので、いまさら感がある。本の中でも同じ話がくどくどと繰返されている印象が強く、自分が属する業界内のプレーヤーの事例を自分で調べて研究したほうがよい。「ケイパビリティ」のイメージを捉むために、難解な文章を読み解く必要があった。訳語に工夫がなさすぎで、訳者・出版社ともに怠慢であろう。
** メモ
- 製品だけでなく「プラットフォーム」も重視する
- 製品(あるいはプラットフォーム)だけでなく「サービス」も重視する
- 戦略だけでなく「ケイパビリティ」も重視する
- プッシュだけでなく「プル」も重視する
- 規模だけでなく「範囲」も重視する
- 効率性だけでなく「柔軟性」も重視する